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ポリネシアン・トライアングル 古代南太平洋の謎と神秘

16世紀初め、ヨーロッパ人が初めてこの島々を訪れて以来、ポリネシアには「この世の楽園」というイメージが定着した。それは21世紀になっても変わっていないようだ。楽園のイメージは確かにポリネシア文化の一面ではあるが、全てではない。私はポリネシアの魔術的文化に興味があるのだが、それを扱った日本語の本は極端に少ない。(英語だとそれなりにあるようだ)

本書は、チェコの民俗学者スティングルが書いた、ポリネシアの神話、古代文明、伝統生活などを解説した本である。スティングルは初めてトンガ諸島を訪れたとき、ピラミッドがあることに驚いたそうだ。民俗学者である彼が、入念な下調べの上訪れたのに、ピラミッドがあることを知らなかったのだ(私も本書を読むまで知らなかった)。その驚きが原点となり、ポリネシアの真の姿を紹介しようと書かれたのが本書である。

内容は、ポリネシアの創世神話に始まり、ポリネシア人はどこから来たのかという疑問、航海術、農業、社会構成など多岐にわたる。

第五章・第六章では、酋長(アリキ)と神官(タフナ)を中心とした社会がどのように構成されているかが解説されている。ポリネシアの社会構成で重要な概念が「タブー」と「マナ」だ。タブーはもともとポリネシア語で、クック船長がヨーロッパに持ち帰った後、世界的に広まった。ポリネシアのタブーは宗教的な意味合いのものもあるが、社会の利益に適ったものも多い。マナは人や物に宿る神聖なエネルギーで、権力とも深く結びついている。タブーとマナは社会のルールなのだ。

幅広いテーマを扱っている分、少し物足りないかもしれない。内容は簡潔で、翻訳文章も読みやすいので、ポリネシア入門書としては最適か。

序にかえて
第一章 ポリネシアの誕生
愛らしき海、モアナ
海からの誕生~ダーウィンの環礁(アトル)発生説
「楽園創造」と「進化論」
南海のプロメテウス、漁師マウイ
進化と淘汰の中で~ポリネシアの生物
ポリネシアン・トライアングル
海の民族大移動
第二章 古代ポリネシアの謎
太平洋のアトランティス大陸
海の底の真実
死者の魂が戻りゆく島、ハワイキ
エジプト文明の痕跡~ファラオ祖先説
南海に渡ったキリストの子孫~ユダヤ人祖先説
白い神々が遺したもの
コンティキ号の功罪
東へ―南米大陸への道
第三章 「南海のヴァイキング」ポリネシア人
双胴船の発明
ポリネシアの航海術
神の加護を受けた造船
南海のヴァイキング
植民と発展の歴史
人口過剰~マルキーズ諸島の植民
大航海の果てに
大ポリネシア語圏と各地の言葉
第四章 古代ポリネシア人の生活
イモと木の実の農業
コショウの”覚醒剤”
祖先の魂が宿る「彫刻の館」
「歩くモアイ」の謎
道具も身体もファッショナブルに
聖なるフラダンス
ハワイアン音楽の原点
「元祖サーファー」
楽園の愛、そして結婚
和合の掟書『歓喜の勧め』
第五章 ポリネシアの神々
貝から生まれた創造神、タアロア
神々にも階級
「タブー」と「マナ」
法、哲学そして神
文学に秘められた呪術
イースター島の「喋る板」
第六章 神々に仕える者
神界と人間界の仲介者、タフナ
南海にそびえる石造神殿
生け贄に上の神殿造り
戦争と平和を支配した神殿(マラエ)
旅廻り芸人たちの舞台
家族制度と三大階級
貴族、庶民、奴隷
酋長(アリキ)と王
千年の王国
訳者あとがき


ポリネシアン・トライアングル―古代南太平洋の謎と神秘 (古代文明の謎を追え!)

更新:2009年12月12日

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