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神々のハワイ

神話は、形が固定された時、その役目を終えるのかもしれない。

『神々のハワイ』 は、ハワイ出身の作家スザンナ・ムーアによる、ハワイの歴史と、神話と、著者の体験が混じり合った、ちょっと不思議な本だ。

1778年にヨーロッパ人として初めてハワイ島を訪れたクック船長は、収穫の神ロノの再来として熱烈に迎えられた。一方、ヨーロッパ人がタブーを破っても神から何も罰せられないことが島民に知れ渡ると、古い信仰は崩壊していった。19世紀には日本人を含む多数の外国人が移住し、先住民は追いやられていった。

著者はまるで自分がそこにいたかのように歴史を語る。歴史は常に変化しており、神話もまたその姿を変えていく。

神話とは、実際的な必要と精神的な欲求を同時に満たしてくれる古代世界への賛美だ。

神話とは、謎に包まれた英雄を魔力をもつ聖なる存在に変える芝居仕立ての儀式だ。

神話とは、超越的な存在についての観念をあらためて認識し守る手段だ。

神話とは、自然界とそのなりたちを語るものだ。

著者は神話とは何かを自問する。

実のところ、ハワイの神話が解説されているわけではない。また歴史についても、さわりが書いてあるだけである。ハワイ通には物足りないかもしれない。

本書の良いところは、スザンナ・ムーアが自分の言葉で語っており、文章が面白いということだ。同じ歴史の授業ならば、話の上手い先生に学びたいものである。

ハワイに興味がある人はもちろんのこと、文明や神話に興味がある人も楽しんで読めるだろう。

  • 第1章 死者の夜行
  • 第2章 神の再来
  • 第3章 ヨーロッパ人
  • 第4章 偉大な王
  • 第5章 カプ
  • 第6章 子供たち
  • 第7章 島
  • 第8章 収集家
  • 第9章 宣教団
  • 第10章 土地の所有者
  • 第11章 カナカ・マオリ
  • 第12章 女王
  • 第13章 楽園
  • 第14章 ミュージシャン
  • 第15章 森
  • 原注
  • 巻末エッセイ 語り部の海 中上 紀


神々のハワイ (ナショナル・ジオグラフィック・ディレクションズ)

更新:2009年12月12日

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